今日の小学生への読み聞かせ、おすすめ絵本は
「あのときすきになったよ」
- 作/薫くみこ
- 絵/飯野和好
- 出版社/教育画劇みんなのえほん
- 初版発行/1998年4月
どんな絵本?
1年生の女の子「わたし」が
後ろの席の「きくちさん」こと「しっこさん」と
だんだん仲良くなっていく様子を描いた絵本です
「わたし」は、後ろの席の「しっこさん」を
最初はあまり好きではありませんでした
しっこさんは
いつも怒ったような顔をしていて
ほとんどしゃべらないし
おしっこもよく漏らす・・・・
休み時間にはブランコの取り合いで
ケンカもしました
「わたし」は心の中で「しっこさん」に
思いっきり悪口を言いました
その悪口のページを読むと
子どもたちはげらげら笑います
そんなある日
教室の金魚が死んでしまいました
クラスの男子「まこと」が水槽に牛乳を入れたせいです
わたしとしっこさんは2人で
校庭の隅に
金魚のお墓を作りました
作りながら
まことの悪口をたくさん言って
盛り上がりました
その日、しっこさんと一緒に帰ろうと思ったけれど
家は川を挟んだ別の方向でした
お互いの姿が見えなくなるまで
「おーい♪」と言い合いました
わたしの耳には、その日はずっと
しっこさんの声が聞こえていました
家についても
夜になっても
お風呂に入っても・・・・
次の日は熱が出てしまい
お休みしました
すると夕方
家の郵便受けに
手紙が入っていました
しっこさんからでした
「つまらないです・・・」と
その手紙には書かれていました
翌朝
熱が下がったので学校に行きました
校門を入って教室の窓を見ると
しっこさんがいたので手を振ったら
しっこさんが笑いました
授業中
「手をたたきましょう♪」を歌っている時
わたしはおしっこに行きたくなりました
もうちょっと
もうちょっと と
がまんしていましたが
歌の途中で
とうとう漏らしてし漏らしてしまったのです!(>_<)
わたしは茫然として
濡れていく足元を見つめていることしかできませんでした
その時
突然
じゃーっと大量の水が流れて来て
私のおしっこをその水が流して行ってしまいました
びっくしりて振り向くと
紫陽花の花瓶を逆さに持ったしっこさんが
そこに立っていたのです
そのあと
しっこさんは先生に怒られました
それでも、なぜそんなことしたのか
理由は言いませんでした
なぜ高学年もOKなのか?
しっこさん、「わたし」のおもらしの証拠を
消してくれたのですね
なんて勇敢で優しいんでしょう
感激しますよね
ある時、3年生だったと思いますが
絵本の感想を聞いてみたのです
(感想を聞くのは良くないと言われますが(;^_^A)
すると颯爽と手を挙げた女の子が
「花瓶の水を流さなければ良かったのにと思いました」
と言ったのです
私は、「えっ?」と驚きました
だって、この絵本の見どころは
まさにこの花瓶をひっくり返すところにあるのですもの
そこで、皆に向かって
「しっこさんは、どうして花瓶をひっくり返したのかな」
と聞いてみました
けれども皆、黙ってしまい
誰も答えなかったのです
「わたし」のおもらしの
証拠隠滅をはかったのだということを
誰も言わなかったのです
その時に、
3年生ではまだ理解できないのかなあと思いました
もしかしたら読み方が悪かったのかもしれません
さて
そこで6年生でも読んでみました
すると
最後の場面に来ると
「おお~~」という
歓声のようなどよめきが起こったのです
これだ
6年生はさすがに理解できるんだ!
私はこの場面にとても感動するのですが
その感動を
共有できる相手がいるということは
本当に嬉しいことだなと
読み聞かせをとおして
実感しました
このようなわけで
高学年にもおすすめの絵本だなと思ったのです
そして、友達を助けるというのは
単に優しい言葉をかけるだけでなく
このように勇気を伴い
自分自身をも不利な立場に追い込んでしまう
そんなこともあるんだな
優しいということは
同時に強くなければならないのだなということを
高学年の子どもたちならわかるのではないかと
思いました
最後に
「あのときすきになったよ」は
出版されたのが1998年と古いので
大人の読み手にとっては
何か懐かしいにおいを感じさせてくれます
何度か現れる鮮やかな紫陽花の花が
最後に大活躍するしかけも粋だなと思いました。
今日も読んでいただき
ありがとうございまいした。
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